シャックルについて解説
玉掛け作業においてシャックルは、荷物を安全に吊り上げるために使用する連結金具です。
今回はシャックルの種類や取り付け方法等について解説していきますので、最適なシャックルを選定できるよう参考にしてください。
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シャックルとは
玉掛け作業におけるシャックルとは、ワイヤーロープやチェーン、繊維スリング等の玉掛け用具と、吊り上げる荷物やクレーンのフック等を連結するための金具です。
汎用性が高く、玉掛け作業には欠かせない重要な連結金具の一つです。
シャックルの主な特徴は以下の通りです。
●形状
・バウ型
丸みを帯びた形状のシャックルで、懐が広く、2本以上のワイヤーロープを掛ける場合や、荷重方向が定まらない場合等に適しています。

・ストレート型
シンプルな形状をしたシャックルで、直線的な荷重が掛かる場合によく使用されます。

●構造
・本体(U字形の部分)と、その開口部を閉じるためのピンで構成されます。ピンはねじ込み式やボルト・ナット式等があり、用途や頻度によって使い分けられます。
※ねじ込み式

※ボルト・ナット式

●用途
- ワイヤーロープの先端と荷物を連結する。
- 複数のスリングをまとめてクレーンフックに掛ける。
- 玉掛け用具同士を連結する。
- その他、様々な吊り上げ・運搬作業において、確実な連結を必要とする場面で広く使用されます。
使用荷重の見方
シャックルには使用荷重が明記されており、その範囲内で使用することが非常に重要です。
表示方法は主に以下の通りです。
・SWL(Sefe Working Load)またはWLL(Working Load Limit)の表示
多くのシャックルにはSWLまたはWLLという略語とともに、その後にt(トン)やkg(キログラム)で具体的な数字が刻印されています。
れはそのシャックルが垂直方向に、かつ静的に安全に吊り上げる事ができる最大荷重です。そのため横方向には負荷を掛けないように注意しましょう。

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シャックルの取り付け方向
ボルト側は静策(動かない側)に取り付けましょう。これはシャックルをワイヤーロープやスリングに連結する際の重要な原則です。

・静策(せいさく)とは、クレーンで巻き上げた時に動きが生じない側のワイヤーロープやスリングを指します。例えば、吊り荷に固定されている側やクレーンのフック側で動かないように固定されている側などです。
・動策(どうさく)とは、クレーンで巻き上げた時に、動きが生じる側のワイヤーロープやスリングを指します。
ワイヤーロープが動く側(動策)にシャックルのボルト側を取り付けてしまうと、以下の問題が発生する場合があります。
- ボルトの緩みや外れ
ワイヤーロープが動く事でボルトが回転して緩んでしまう事があります。最悪の場合、ボルトが完全に外れて吊り荷が落下する危険性があります。 - ボルトの過剰な締め付け
ボルトがさらに絞め付けられ、取り外しが困難になる事があります。
特殊なシャックル
玉掛け作業で使用されるシャックルには、汎用的なシャックルの他にも特定の用途や環境に特化した「特殊シャックル」が数多くあります。
主な特殊シャックルの種類と特徴をいくつか紹介します。
・強力長シャックル
シャックルのふところが深く、長い形状をしています。
表的な用途としては鋼矢板の引き抜き作業が挙げられます。その他、厚みのあるものや、通常のシャックルでは掛けにくい治具など、様々なものを吊り上げる事ができます。

・ワイドシャックル(特殊幅広シャックル)
シャックルの口幅が広く設計されています。
幅の広い部材やベルト、複数の吊り具を同時に取り付ける必要がある場合に適しています。

・超強力シャックル
一般的なシャックルよりも、さらに強度と耐摩耗性に優れています。特殊合金鋼を素材として鍛造され、熱処理が施されています。一般的なシャックルに比べて、同サイズでもより高い使用荷重を持っています。
・ワンタッチロック・解除機能付きシャックル
ピンの締め付け・解除が工具なしで簡単に行えるシャックルです。
頻繁にシャックルの取り付け・取り外しを行う作業で、効率の向上に役立ちます。
・ステンレス製シャックル
耐食性に優れたステンレス製のシャックルです。
海洋環境、薬品を取り扱う環境、食品工場など、錆や腐食を嫌う環境での使用に適しています。
まとめ
- シャックルは玉掛け用具と、荷物やクレーンフックを連結するための金具
- 形状はバウ型とストレート型があり、掛けるワイヤーロープの本数等で使い分ける
- ピンはねじ込み式やボルト・ナット式等があり用途や頻度によって使い分ける
- 使用荷重はSWLまたはWLLの後に具体的な数字が刻印されている
- 取り付け方向はボルト側を静策側に
- 特定の用途や環境に特化した「特殊シャックル」があり、最適な種類を選定しましょう
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